提案力
早春を迎えるも寒暖定まらず、体調を崩しやすい気候が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は当施設で行った勉強会の補足、その付言の意味で表題を提案力としました。
皆さまはご存知かと思いますが、これは全てのビジネスパーソンが身につけておくべき必要な作法であると同時に、どの業界でもマストで求められる通底的な能力です。
というのも、売り手と買い手の市場原理は対外的な需給の文脈のみならず、会社組織という共同体の中における対内的な文脈、使用者(雇用主)と労働者という労使関係においても不変の市場原理だからです。
この市場原理と、評価制度を連動させる建付の説明を、前回の勉強会でさらっとご紹介しました。
しかし敢えて全容、その多くを語らず参加者のリテラシーに委ね、行間を読み言外の意を持ち帰ってもらいました。
狙いとしては公開した数字だけが一人歩きし、瞬く間に全社的に波及する事で物議を醸す、そう踏んでの一計でした。
少し話は逸れますが、コロナ禍以降、外部の目に晒される、この衆人環視の状況が極端に減る事で発生する接遇力の低下、このハレーションは分野を問わず、全方位的に見られる現象ではないでしょうか。
当施設も例外ではなく、もちろん忸怩たる思いではありましたが、どうしてもそこへ楔を打ち込む必要があると考え、面会制限の解放というドラスティックな施策を敢行する運びとなり、その為にも冒頭で触れた数字、勉強会では少々センシティブな給与の一部、処遇改善手当の内訳を公開する必要がありました。
また、評価制度の建付である一つの柱、相対評価においては、定量と定性評価の両軸から構成されており、その定性評価の一つである、提案力、この重要性を理解してもらうことにも繋がります。
話を戻しましょう。
この市場原理を理解しないままに、組織の中で身を委ねることでどの様なハレーションを引き起こすかは、想像に易いかと思います。
見ざる、言わざる、聞かざるの3猿でドライブする事が通常運転の人間もあれば、不平、不満のみならず加害性や攻撃性をバフがけし、他者を謗り腐すといったパーソナルアタックに等しい、提案とはかけ離れた悪意10割の人外も中にはいる事でしょう。酷い場合は権謀術数にたけ、悪計を巡らせる事に汲々とするマキャベリズムの権化、そんな曲者がいる場合も否定できません。
これらの悪意をどうスクリーニングし、定性評価の基準である提案力の具体を説明するかですが、要は、前述したパーソナルアタックに等しい加害生や攻撃性を含まない、組織、または部署の便益となる(損失、損害を防ぐ)報告、共有、相談を指します。
その上で、前述の市場原理である雇用主(使用者)と労働者は買い手と売り手の関係であるため、提案でもない、売り手側(労働者)の一方的な自利に偏重した陳情を、買い手側が聞き入れる義務も義理もない事は自明ですが、この立場を誤認している人は存外、少なくないように思います。
ではここで、実例を用いて更に掘り下げましょう。
A)◯◯さんがこんな対応をしていました。人としてどうかと思います。最低ではないですか?リークした事は内密にお願いします。
一見すると、間々見受ける報告と捉える人もいるかと思いますが、私からすれば、攻撃性を孕み、ワンサイドのみの当事者欠席裁判であるため、評価に資するものではないと判断します。
これを提案としてブラッシュアップした報告の仕方としては、
B)◯◯さんの対応は会社としてのレピュテーションリスクになる為、報告と併せて、次回現認した際は注意しようと考えています。ただ、注意しても改善が見られなかった場合、対応をお願いしても良いですか?
これは加害性や攻撃性もなく、報告を提案に昇華させた良い事例です。
要は、会社のために火中の栗を拾いに行くので、火傷した際はフォローをお願いしますと言う事です。
また、これは持論ですが、報連相とは然るべき相手、然るべき場所、然るべき言葉、この三原則を徹底すべきだと考えます。これを欠き、感情が介在すると単なる愚痴、不平、不満に成り下がります。
これを私は3猿ならぬ、3鹿と呼んでいます(造語です)
さて、今回も稚筆はさることながら、これ以上微に入り細を穿つととんでもなく冗長的になる予感がするため、この辺りで締めくくりに入ります。
今回の要諦は、社会人として必要な所作である報連相を履き違えず、身につけておくべき作法として、提案を織り交ぜる、又は提案に昇華させる重要性をお話ししましたが、今一度、自身の役割や立場を再確認し、職務を全うする事が何よりも肝要だと言う事です。
次長 足立