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『2040年問題』

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 梅雨に入り、一気に暑い日が増えましたが、皆さま体調は崩されていませんか?今回は少し先の話をしたいと思います。

 介護保険制度が始まった2000年、当時の福祉系の本やテキストには『2025年問題』が記されており、2025年に、わが国は他に類を見ない超高齢社会を迎え、全ての団塊の世代の人が後期高齢者となり、高齢者を支える介護従事者の不足が顕著となるというような内容が記載されていました。それに続き『2040年問題』。高齢者人口がピークを迎え、少子化による生産人口の減少により社会保障制度の崩壊が懸念されるという内容でした。いずれも強烈なインパクトはあったものの、当時の自分はずっと先のこととして捉えており、そのことに関する危機感のようなものは全く抱いていませんでした。

 あれから二十数年、気が付けば今年は2025年。日本の人口はどんどん減少し、テキストにあったように「他に類を見ない超高齢社会」となっています。奈良県でも現時点で一万人近くの介護職員が不足しているとの事で、今となれば危機感を感じずにはいられません。政府はその対策として海外から多くの外国人を招き入れ、現在では介護現場において最前線で活躍されている国家資格保持者も大勢見られるようになりました。そして、それと同時に進められているのがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。これまで人の手で行われていた業務をIOT、ICTの技術を取り入れてビッグデータに集約したり、効率化をはかる。少子化による人手不足を解消するための要の政策です。県内でも各事業所においてサービスの質を担保するためにこれらの取り組みが行われており、介護業界も変革の時を迎えていると言えます。新しいものを取り入れ、守るべきものを守っていく。何を変えて何を変えないのか。その分別を誤りなく進めていくことは、各企業にとって生き残りをかけた重要なポイントになるのではないでしょうか。介護保険制度が始まったその頃、まだ新米だった私は周りの方々から多くのことを教えていただきました。職場の諸先輩方からは、介護の仕方、社会人として必要なこと、厳しめの人間関係(笑)。ご利用者からは生まれ育った時代のことや家族、子育て、家事のこと等、先人の方々の知恵や価値観です。特に心に残っているのは戦後の話で、日本が焼け野原から高度経済成長期を向かえるまで、当時の方々の並々ならぬ苦労と努力の積み重ねがあり、その礎の上に今があると強く感じました。そういったことへの感謝の気持ちやリスペクトが、ご利用者との関りでより人間らしく温かみのあるものとして構築されていくのを感じます。

 時代が変化し、デジタル化が進むことは必要なことではありますが、人の心を支えること、ぬくもりを提供することができるのは「人」でしかない。そのことを忘れずに来たる『2040年』に向けて、今の時代を切り抜けて、先人から伝えられた大切なものを次世代につなげ、力強く歩んでいくことが今を生きる私たちの大切な役割ではないでしょうか。

久保

2025.06.28

「おもてなしの心」

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